関連付けられたILIツールのパフォーマンスに基づいて最も危機的な部位のみを掘り返す

修理が不可欠でない部位を掘り返してしまう、あるいは、不具合の可能性のある部位を見逃してしまうということで、不要もしくは突発的な経済損失を招いてしまうかどうかは、「インライン検査(ILI)技術のパフォーマンス」というたった1つの要因に依存しがちです。このため、パイプラインの損傷や凹凸を検出し、その大きさを測るためには、超音波試験(UT)や磁束漏洩(MFL)試験によって検査を行うILIツールの信頼性の確認が重要です。

課題:ILIツールの精度と信頼性をいかに確保するか

ILI(インライン検査)ツールは有用です。パイプラインの健全性に関する情報が比較的正確に得られ、評価や修理が必要な特徴を効果的に見極められます。それでもなお、ILIツール(「スマートピグ」と呼ばれる)から得られた結果を、直接的な評価技術を用いて確認するのが、非破壊検査(NDT)サービスを提供する企業では一般的です。

 

 

最新の3Dスキャン検査のために掘り返されたパイプラインの損傷部。光学式測定機器の読み取りを向上させるため、日よけで覆われたパイプ部分。

最新の3Dスキャン検査のために掘り返されたパイプラインの損傷部

 

スマートピグでパイプ表面のデータをキャプチャする場合、検査対象のパイプセグメントに使用するのと同じ標準信号を使って、スマートピグの電磁信号をキャリブレーションします。この比較測定の精度は、検証検査で確認する必要があります。なぜかと言えば、現場条件は測定条件によって異なってくる可能性があり、それが、多少の差はあれ、重要な誤りにつながる恐れがあるからです。

比較測定は、キャリブレーションの際の操作ミスや変化する環境条件、また、検査部分とキャリブレーション標準との差によって影響を受けることが少なくありません。したがって、ILI比較技術の精度の確保には、検査したパイプセグメントのキャリブレーションを行うのが理想的です。

ILIツールの現場データとピットゲージの現場データとを関連付けることが必要不可欠な理由

ILI(インライン検査)ツールのパフォーマンスの評価、定性化および検証を自信をもって行えるよう、サービス企業は多大な時間をかけ、スマートピグの現場データとピット(穴)ゲージ(または他の直接的な評価ツール)の現場データとを関連付ける努力を行っています。面倒ではあるものの、パイプライン・オペレーターは、通常、漏洩磁束法(MFL)技術以上の優れた絶対精度が得られる複数の機器を使い、複数のサイクルを通して有意な統計母集団分析を蓄積しているため、この作業は必要不可欠です。


解像度や精度が異なる2つの技術をどうすれば関連付けられるのか?

ILI(インライン検査)ツールと直接的な評価ツールでは、解像度も様々な軸(位置、奥行き、外周など)における精度も異なることを考慮すると、最もふさわしいのは、異なる2つの技術を同じ直感的なソフトウェア環境で関連付けられるようにする、統合型のソリューションを選ぶことです。


ピットゲージを使って手作業で行う測定は100%信頼できるのか?

パイプ・キャリブレーションにおいて高いデータ精度と信頼性を確保するには、技術者の能力に左右されない測定品質を得る必要があります。過酷な環境で作業を行いつつ、検査を迅速に完了するよう迫られるだけでもすでに十分なプレッシャーです。ですから、検査に用いる測定技術は、ツールの扱いの良し悪しに関係なく信頼性の高い結果が得られると確信できるものである必要があります。ここで力を発揮するのが3Dスキャンです。

 

ソリューション:効率的かつ高精度、ユーザーの習熟度を問わず、使いやすい、パイプライン検査ソフトウェア・モジュール搭載の3Dスキャンシステム

効率性: 3Dスキャナーが腐食やへこみの特徴をキャプチャすると、Creaformの技術によって、スマートピグの検査結果と3DスキャンデータとのILI(インライン検査)相関が行われます。パイプライン・ソフトウェア・モジュール(VXintegrityに搭載)は、スキャン結果とILIツールで確認されたデータとを関連付け、特徴が重なる場合は自動でそれらを関連付け、一致しない特徴を特定します。ユーザー・インターフェースは、たった1クリックで、深さ、長さおよび幅を比較できるよう最適化されています。

メトロロジー・グレード(寸法検査レベル)の精度: セットアップの良し悪しや環境の不安定性、ユーザーの習熟度に左右されない再現性のある絶対測定とその結果が得られれば、作業者やNDTサービスを提供する企業は、信頼性の高い検査結果と極めて高いデータ品質のデジタル再構成画像が得られると確信できます。

ユーザーの習熟度を問わない:  ILI(インライン検査)ツールのパフォーマンスを検証する場合、測定機器と方法が極めて重要です。手作業による方法では一貫性に欠けることは周知の事実で、それによって得られた統計的結論も極めて疑わしいと言わざるを得ません。一方、3Dスキャン技術を活用すれば、測定方法や技術者の習熟度に結果が左右されることはありません。技術者の経験を問わず、同じように一意性のあるスキャンが得られるため、サービス企業は、面倒な監督作業を行うことなく、データ収集や分析を安心して技術者に任せられます。

高い簡便性:プラグアンドプレイ・デバイスと使い勝手の良いインターフェースを備え、設定済みパラメータに加えて定義済みワークフローも準備されているため、オペレーターは迅速に信頼できるデータキャプチャが行えます。さらに、パイプライン・ソフトウェア・モジュールは、見やすい画像に加え、ILI(インライン検査)とスキャンとの関連付けの詳細を示した表も挿入したExcel報告書をエクスポートできるため、シームレスで簡素化されたプロセスを構築できます。

 

3Dスキャンで得られた外部腐食パターンと、位置がずれている可能性のあるILIデータと関連付けられた外部腐食パターンとの重ね合わせ。3つのパターンで、危機的状況が示されている。

3Dスキャンで得られた外部腐食パターンと、位置がずれている可能性のあるILIデータと関連付けられた外部腐食パターンとの重ね合わせ

 

HandySCAN 3D|BLACK SeriesVXintegrityのパイプライン・モジュールを組み合わせて活用するソリューションは、メトロロジー・グレード(工業用寸法検査レベル)の精度と作業者の習熟度に左右されない結果が得られる、市場で唯一の技術です。ですから、測定のばらつきや結果判定に曖昧な点が出ることもありません。

特長: ILI相関結果によって、NDTサービス企業は労力を注ぎ込むべき対象を把握可能に

スキャンデータとILI(インライン検査)検査結果との関連付けにより、サービス企業は、腐食拡大を確認できる高精細画像を得て、的確な判断を下せるようになりました。つまり、時間短縮とコスト削減を実現しているということです。

  • ILI相関結果への信頼 パイプライン・モジュールは、パイプラインの3Dスキャンデータにスマートピグ・データを関連付けることでILI(インライン検査)のパフォーマンス・レベルをモニタリングするため、相関結果の精度は向上していきます。サービス企業は、掘り返す必要のある場所が確実にわかるため、直接的評価や修理に必要な掘削の回数を減らせるようになっています。
  • 不要な掘削を減らすことで数百万ドルの節約に ILI(インライン検査)が示す100ヶ所以上を現場データに照らして分析した結果、全体の平均点では相関性があることが示されたものの、ILIによって示されたより深いくぼみが現場データと一致しないことが判明しました。最終的に、ILIツールの供給業者は、その分析に同意して報告書を評価し直し、修理計画から、数百万ドルかかると見込まれていた掘削が除外されました。
  • 設備投資の効果 シンプルかつ精度の高い、わずか数万ドルの技術の購入によって掘削にかかる数百万ドルを節約できたサービス企業は、その時間とコストをより注意が必要な重要な部位に振り向けられるようになっています。

 

HT Engineering logo

何かおかしいと感じた場合にそれに気付ける予備知識と能力があれば、時間とコストを大幅に節約できます。HT Engineering社の経験豊富な保全作業チームは、ツールによる検査や修理計画に最大限の努力を払う顧客を常にサポートすることを目指し、顧客が多額の費用を節約できるようにしています。

例えば、最終報告書に180日間で発生した腐食の特徴が多数示されているのを目にしたとき、HT Engineering社のプロジェクト・マネージャーであるジェイソン・R・ラーマン(Jason R. Larman)氏は、懸念を感じたと同時に興味もそそられました。腐食を大幅に加速させる事態が発生したのだろうか?先のツールによる検査で金属損失を過少報告したのだろうか?この古いパイプライン全体に広がる表面のざらつきが、腐食の特徴の過剰報告の原因だろうか?

幸いにも、すでにCreaformのレーザースキャン技術を知っていたことから、ラーマン氏とそのチームは、Creaformの3DスキャナーとPipecheckをすでに導入しているNDT(非破壊検査)サービス企業に連絡することにしました。このNDTサービス企業は、「到達が容易な」いくつかの箇所でスキャンを行い、そのデータをHT Engineering社に分析用として提供しました。

ILI(インライン検査)が示す100ヶ所以上を現場データと比較して分析した結果、全体の平均点では相関性があることが示されたものの、ILIによって示されたより深いくぼみが現場データと一致しないことが判明しました。最終的に、ツールの供給業者はHT Engineering社の分析に同意し、報告書を評価し直しました。再評価によって、修理計画から400万ドル相当の掘削が除外されました。40,000ドルの費用に対する効果としては、かなりのものではないでしょうか。

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