部品メーカー(自動車)、アフターマーケットの各分野で使われる3Dスキャン技術

Quality control made with 3D scanning on a serie of car parts on the shop floor

自動車部品メーカーの品質管理上の懸念を解消

 

景気が低迷していても上向きでも、部品メーカーやサブアセンブリメーカーは、常に自動車メーカーから製品の品質と性能の向上を強く迫られます。しかも、リードタイムの短縮とコスト削減も求めれるのです。このために、利益が大きく削られることになります。

効率化と作業の合理化の必要性に完全に対応できているのは、ジャストインタイム方式と自動化による製造ワークフローを実施している部品メーカーだけです。しかしながら、多くのTier 1、Tier 2の部品メーカーばかりかTier 3の部品メーカーまでもが、OEM品質や要求価格に対応するため、また、自社の労働力や生産性の問題に取り組むため、別のソリューションに頼ろうとしています。

検査のボトルネックと非効率性の軽減

生産工程の上流の品質保証と下流の品質管理の両方が組み込まれた堅牢な品質管理システムを構築することが極めて重要なことは、自動車産業の部品メーカーなら知らないところはありません。どのようなコンポーネントやサブアセンブリであっても品質に問題があれば、性能の問題や多大な費用のかかるリコールを引き起こしてしまうことも、また、ドライバーを危険にさらすような、あるいは、訴訟を起こされるような事態を招く恐れもあります。

自動車産業の部品メーカーは、これまで、ラボに設置された従来型CMMに依存して部品検査を行ってきました。CMMの場合、データにおける精度と信頼性は高いものの、CMMの操作や検査の実施を寸法検査の専門家が行わなければなりません。

CMMの問題は、検査作業を完了できるのが専門家に限られるため、必然的に生産のボトルネックが引き起こされてしまうことです。まず、どんなに適性があっても、どれだけ効率よくこなせる作業者であっても、1日に行える品質管理チェックには限りがあります。今日の労働市場のひっ迫と退職間近の世代が控えていることを考えれば、自動車部品メーカーにとって、経験豊富な寸法検査の専門家を採用し、雇用を維持するのは至難の業です。

加えて、CMMは、振動や湿度、ホコリに弱いため、生産現場ではなくラボで動作させる必要があります。また、コストの点から、どんな生産工場でも、CMMの台数は限られます。結局のところ、生産スループットと品質に多大な影響が出てしまうのです。

複雑さを増す部品やサブアセンブリを扱う難しさ

自動車メーカーは、競争上の優位性確保のため、こぞって車の機能性を追求しています。自動車メーカーは、オーガニックフォーム(自然物を彷彿とさせる形態)要素から自動車の電気化に至るまで、設計の限界に挑んでいます。これには、従来の製造の概念をすべて一新する必要のある、これまで以上に複雑な部品やサブアセンブリが必要です。

複雑さが増すことで、品質保証と品質管理の各チームは、よりハードルの高い課題の解決を迫られることになります。従来のツールでは、曲面のある部品、光沢や反射、黒や透明といった様々な表面を持つ部品の重要な測定を十分に行うことはできませんでした。複雑な部品やサブアセンブリから成るシステム全体の検査を実施する必要がある場合、問題の難度はさらに上がります。さらに、自動車産業で経営統合が進んでいることから、部品メーカーは、各自動車メーカー向けに、仕様の異なる多くの種類の部品を設計・製造する技能の育成も行わなければなりません。多品種の設計・製造となれば、品質保証や品質管理の方法がさらに複雑化します。

このため、適切な3D測定技術やワークフローを導入していない自動車部品メーカーにとって、欠陥を見逃さないための品質モニタリングやトレーサビリティは頭の痛い問題になると考えられます。

コスト削減を求める自動車メーカーからの圧力

部品メーカーにとっては、これは、自動車メーカーの要求に応じつつ何とか利益も上げなければならないということです。一方の自動車メーカーとしては、製品の差別化を確実にするため、パートナー企業による革新を求め、また一方で、部品メーカーに、しばしば3~5%に及ぶ年間コストの削減も期待しています。このため、部品メーカーには、業績不振に陥る危険性が生じます。

競争力を維持しつつ、利益幅縮小と性能向上に対する圧力を緩和するためには、部品メーカーは、「安易な」成果報酬インセンティブや成果分配制度によって従業員のやる気を引き出して生産性を上げるというやり方から、次の段階へと歩を進めなければなりません。さらに、技術によって効率性を向上させるには革新的ソリューションに頼る必要があり、業績アップには生産ラインのワークフローを見直す必要もあります。

自動車メーカーの生き残りと市場力学の維持に一役買う3D技術

CreaformのHandySCAN 3DやMetraSCAN 3Dといったメトロロジー・グレード(寸法検査レベル)の3Dスキャナーと光学式CMMは、包括的な品質管理システムの不可欠要素として、品質、運用のいずれから見ても、自動車部品メーカーにとって決定的な役割を果たしています。

Tier 1、Tier 2またはTier 3を問わず、多くの自動車部品メーカーが、従来型のCMMや他の検査機器の補完役として、ポータブル3Dスキャンソリューションを選択するようになっています。

なぜなら、これらの技術によって、自動車産業用途にふさわしい最適レベルの精度と信頼性、再現性が得られるからです。また、3D測定の結果を短時間で生成できるだけでなく、作業者の習熟度に左右されない、驚くほどの操作性も特徴です。自動車部品メーカーの中には、CreaformのR-SeriesTMといった自動品質管理ソリューションを導入し、驚異的な生産性の向上を実現している企業もあります。R-Seriesは、アットライン検査用として工場への統合も可能な、工業用の完全な3D測定セルです。 

では、自動車部品メーカー向け3Dスキャン技術のメリットをさらに詳しく見てみましょう。

3D scanning a Cadillac car for quality control purpose

 

自動車部品メーカー向け3Dスキャン技術のメリット

 

堅牢かつ実証済みの3Dスキャン技術がなければ、部品メーカーは、顧客である、妥協を許さない自動車メーカーの要求に応えることはできません。HandySCAN 3DスキャナーやMetraSCAN光学式CMMスキャナーといったポータブル寸法測定ソリューションは、自動車産業の部品メーカーやサブアセンブリメーカーのため、以下のように、その性能を存分に発揮しています。

  • スピード:HandyScan 3DやMetraSCAN 3Dならセットアップが極めて短時間で行えるため、検査チームはわずか数分で動作させることができ、また、直感的に操作可能な設計で習得が容易なうえ、レーザークロス機能で広範囲のスキャンも行えます。さらに、それぞれ、1,300,000測定値/秒、1,800,000測定値/秒の超高速の測定速度を実現し、すぐに使えるファイルをあっという間に生成します。
  • 操作しやすさ:セルフポジショニング機能とダイナミックリファレンシング機能を備えたCreaformのポータブル3Dスキャンソリューションは、経験度や習熟度に関わりなく、技術者にとって非常に操作しやすい設計になっています。事実、寸法検査のためのトレーニングは不要です!CADの基本知識がある人なら、1時間ほどですぐに操作できるようになります。
  • 精度:完全固定のセットアップが不要な、HandySCAN 3DおよびMetraSCAN 3Dの生産現場での精度の高さ(0.025 mm)は、検査チームが自信をもって正確なスキャンデータの評価を基準にしていると言えるということです。いずれのソリューションも、環境の不安定性に全く左右されません。
  • 柔軟性:先に説明したように、自動車の部品もサブアセンブリも極めて複雑なものです。Creaformの3D測定技術であれば、サイズや形状、材質や仕上げ、色を問わず、どのようなコンポーネントのデータも取り込めます。極めて小さな部品も、細かい加工のある部品でも、確実にスキャンできます。
  • 時間短縮と経費削減:結果として、HandySCAN 3D、MetraSCAN 3Dのいずれも、自動車部品メーカーに大幅な時間短縮と経費の削減をもたらします。いずれの価格も、既存の機器、すなわち従来型CMMに比べて手頃です。どちらもプラグアンドプレイ機器のため、トレーニングコストも最小限に抑えることができます。つまるところ、いずれも、効果的な品質保証と品質管理の実施について妥協する必要なく、生産サイクル時間の加速化に大きく貢献できるのです。

 

自動車部品メーカーとして名高いFlex-N-Gateは、現在、Creaformの3Dスキャン技術を活用しています。Flex-N-Gateは、プレス加工の金属、溶接コンポーネント、アセンブリやプラスチック部品を自動車メーカーに供給しています。

すでに22カ所の工場にMetraSCAN 3D光学式CMMスキャナーを導入し、最近では、HandySCAN 3Dも組み込んでいます。この2つのソリューションを、品質保証と品質管理、リバースエンジニアリングに活用しています。Flex-N-GateのCAD/CAEグローバルディレクターであるアーロン・ボワイエ(Aaron Boyer)氏は次のように述べています。「これまで数日を要していた作業が、数時間あるいは数分にまで短縮できるようになりました」

また、ボワイエ氏は、顧客である自動車メーカーの大多数から、品質に関わる問題の解決に3Dスキャン技術を活用するよう求められているとも述べています。「今後、我が社が成長するにつれ、我が社では3D測定技術が標準となるでしょう。全68カ所の工場に導入したいのは、まさにこの種の技術なのです」

MetraSCAN 3D scanning a Cadillac car front grid
Cadillac front grid on VXinspect software

 

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